日経225オプションの仕組みと取引ルール

日経225オプションは、一般の個人投資家がマーケットで自由に売買できる国内で唯一のオプションです。
このページでは、日経225オプションの仕組みや取引ルールについて解説します。

日経225オプションの特徴

日経225オプションは日経225指数(日経平均株価)を原資産とするオプションで、日本取引所グループの大阪取引所(旧大阪証券取引所)に上場しています。  オプションの対象が指数なので、実際に物の受け渡しは行われません。

権利行使のタイプはヨーロピアン・タイプを採用しており、オプションの満期日にのみ権利行使が行われます。

もし、買ったオプションを満期日まで保有していて、そのオプションが満期日にイン・ザ・マネーになっていた場合は、自動的に権利行使が行われます。
その際、指数オプションには現物が無いので、日経225指数(日経平均株価)と権利行使価格との差額を利益として受け取ることができます。
逆にオプションの売り手は、日経平均株価と権利行使価格との差額を支払うことになります。

このように、オプションの権利行使を現金で処理する方法を「差金決済」といいます。 現物のオプションに例えると、本質的価値のあるオプションを満期日に自動的に売る、ということと同じです。
満期日に価値がない(イン・ザ・マネーじゃない)オプションは、そのまま消滅して権利放棄となります。
オプションを買った人は最初に支払ったプレミアム(オプションの価格)が損失となりますが、オプションの売り手は受け取ったプレミアムがそのまま利益となります。

権利行使について注意すべき点は、権利行使の際に対象となる日経平均株価が、正確には「オプションの最終取引日の翌日の日経平均株価」になるということです。

たとえば、9月9日が最終取引日である日経225オプションの場合、そのオプションが権利行使されるときに基準となる価格は、9月10日の朝一番の日経平均株価から算出されます。
この基準となる価格のことを「特別清算指数(SQ値)」と呼びます。(※)

※ SQ値について
SQ値は、日経225銘柄を構成する各現物株の市場での始値(最初に取引された価格)から算出されます。 これは当日における日経平均株価の最初の値とは異なるので注意。


日経225オプションの権利行使
SQ値を基準とし、オプションがイン・ザ・マネーになった場合は差金決済が行われる。 例外として、オプションの買い手が手数料や税金等を考慮して権利行使しない方がよいと判断した場合には、その旨を申告すれば権利放棄をすることができる。


権利行使の際に基準となる価格は、オプションの最終取引日ではなくその翌日に決定されるという点が厄介です。  最近は機関投資家がSQ日を狙って仕掛け的な売買を行うケースもあり、SQが前日の日経平均株価から大きく離れた値になることも珍しくありません。

SQ日のリスクを考慮すると、日経225オプションは最終取引日までには反対売買を行い、ポジションを清算した方が良いと言えるでしょう。
また、3月、6月、9月、12月のSQ日は日経225先物取引の決済日(メジャーSQ)とも重なるため、特に注意が必要です。

日経225オプションの売買単位

株を買うときには購入の最低単位というのがあります。 例えばトヨタ自動車の株の売買単位は100株で、それ以下の株数で購入することはできません。

それと同じように、オプションにも売買単位があります。
日経225オプションの売買単位は1,000倍です。

これについては、証券会社の取引画面を見た方がわかりやすいと思います。

<日経225オプション 取引画面> 日経225オプション取引画面

 <参考>

「現在値」と書いてあるところの列が、取引されているオプションのプレミアム(価格)です。
例えば権利行使価格が11500円のコール・オプションのプレミアムは、「70」と書いてありますね。
売買単位は1,000倍なので、このオプションの実際の価格は70 × 1000で70,000円です。
これが日経225オプションの1単位(1枚)となります。

売買単位が1,000倍ということは、日経平均が1円変動するごとに、オプションの原資産価格が1,000円変動することを意味します。 日経平均が10円動けば10,000円、100円動けば100,000円のインパクトになります。

たとえば、あなたがイン・ザ・マネーのコール・オプションを1枚保有しているときに、日経平均が150円上昇したとします。 このとき、保有しているコール・オプションの価値は150,000円くらい上昇するはずです。
アウト・オブ・ザ・マネーのオプションの場合はデルタが低いので、たとえば日経平均が150円上昇したとしても、コール・オプションのプレミアムは50,000円くらいしか上昇しません。 これは取引するオプションの限月、権利行使価格によって異なります。
もちろん、日経平均が逆の方向に動けば、同じ金額だけオプションの価値が下がることになります。

このような大まかな計算だけでも、日経225オプションはかなり取引単位が大きい市場であることがわかると思います。 実際に日経225オプションをトレードするなら、最低でも100万円、できれば200万円以上の資金がないと余裕を持って取引することはできません。

あらゆる投資について言えることですが、最初に「いくら儲かりそうか?」を考えるのではなく、「いくら損をする可能性があるか?」ということを十分に検討し、リスクを把握した上で取引を行うことが大切です。

日経225オプションの限月

限月(げんげつ)とは、オプションや先物取引の満期がある月のことです。
1月に期限切れとなるオプションを「1月限(がつぎり)のオプション」、2月に期限切れとなるオプションを「2月限のオプション」といったふうに表現します。 最近では、1月物、2月物といった表現も使われます。

また、オプションの満期日がある月の中で、現在の日付から近い月のことを「期近(きぢか)」、遠い月のことを「期先(きさき)」と呼びます。(英語だと「Near」や「Far」などと言いますが、日本語の方が風情がありますね♪)

日経225オプションの限月は1月から12月まで毎月あります。
また、オプションの最終取引日は各月の第二金曜日の前日となっています。(毎月、第二金曜日がオプションのSQ日となる)

ある時点において取引できるオプションは、直近の6か月に加えて、3本の3・9月限が取引可能です。
ただし、取引の大部分は直近の3限月に集中しています。

また2008年9月12日より、6月限と12月限のオプションにおいて、最長で5年間の期限を持つ「超長期オプション」が取引開始となりました。

日経225オプションの限月と最終取引日の詳細については、大阪取引所のオプション取引最終日で確認することができます。

日経225オプションの権利行使価格

日経225オプションの権利行使価格は、直近3限月のオプションは125円刻み、それ以外は250円刻みで設定されます。(※)

※ 権利行使価格の設定ルール詳細

 

タイミング

権利行使価格の追加

1

新規設定時

アット・ザ・マネー(ATM)を中心として、250円刻みで上下16種類の権利行使価格を設定

2

追加設定時
残存期間が3ヶ月超

日経平均株価に連動して、アット・ザ・マネー(ATM)を中心に250円刻みで上下16種類の権利行使価格を追加

3

追加設定時
残存期間が3ヶ月以内

アット・ザ・マネー(ATM)を中心として、125円刻みで上下16種類の権利行使価格を追加

米国市場で取引されているS&P 100オプション(OEX)の場合、権利行使価格が5ドル刻みで設定されており、これは日経225オプションに換算すると50円刻みの間隔になります。
米国市場のオプションに比べて、日経225オプションの権利行使価格は間隔が大きいです。

日経225オプションの取引時間

日経225オプションの取引時間は次の通りです。
日中取引 夜間立会(ナイト・セッション)
9:00~15:15 16:30~翌3:00

夜間立会は日中の取引が終わった後の「時間外取引」になりますが、日中に比べてオプションの取引量が少なくなるため、時間帯によっては流動性やスリッページ(売値と買値の差額)に注意が必要です。

日経225オプション 取引ルールのまとめ

<日経225オプション 取引ルール>
権利行使タイプ 単位 最終取引日 権利行使の基準 権利行使の方法 権利行使価格の設定 取引限月
ヨーロピアン 1,000倍 第二金曜日の前日 満期日のSQ値 差金決済 125~250円刻み 毎月