12.投機としてのオプション買い
■ オプションの買いによって利益を狙う
さて、前回までは、資産を守るための「保険」として、オプションを買うことを説明してきた。
プット・オプションを使って、市場の暴落から株の資産を守るんだったね。
そこで今回は、積極的に利益を得るための「投機」として、オプションを買う方法についてだよ。
守りから攻め、って感じだね。
■ 相場の大きな変動をとらえる
ここで、オプションの買い手の損益について、もう一度確認しておこう。
損失は、初めに支払ったプレミアムに限定されていて、利益は潜在的に無制限なんだよね。
そのとおり。
ただし、オプションの買い手(特にアウト・オブ・ザ・マネーのオプションの買い手)が利益を得るためには、短期間に相場が予想した方向に大きく変動する必要がある。
これが、オプションの買いが、売りに比べて利益を得ることが難しい理由でもある。
では、今後相場が大きく動くかどうか、どうやって知ることが出来るだろう?
ただし、オプションの買い手(特にアウト・オブ・ザ・マネーのオプションの買い手)が利益を得るためには、短期間に相場が予想した方向に大きく変動する必要がある。
これが、オプションの買いが、売りに比べて利益を得ることが難しい理由でもある。
では、今後相場が大きく動くかどうか、どうやって知ることが出来るだろう?
うーん、勘とか?
実際、勘に近い理由でオプションを買うトレーダーもいるのは確かだよ。
でも、ここではもっと勝率が高い方法を考えてみよう。
でも、ここではもっと勝率が高い方法を考えてみよう。
■ ストラドルの買い
オプションの売買戦略には、「ストラドルの買い」という手法がある。
これは、ある原資産に対して、ややアウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットの両方を買うというものだよ。
これは、ある原資産に対して、ややアウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットの両方を買うというものだよ。
コールとプットを両方買う理由が分からないんだけど。
ストラドルの買いは、どちらに動くかは分からないけど、原資産価格がこれから大きく変動する可能性が高いという状況で、有効な売買戦略だ。
たとえば、経営方針を決める重要なミーティングを控えている企業や、決算報告間近の企業の株価は、その決定内容や報告によって、大きな変動をする可能性が高い。
たとえば、経営方針を決める重要なミーティングを控えている企業や、決算報告間近の企業の株価は、その決定内容や報告によって、大きな変動をする可能性が高い。
つまり、どっちに転ぶかは分からないけど、今後株価が大きく動きそうってことか。
そういうこと。
企業の大きなイベントに対して、投資家は好感や嫌気をして、株価が大きく動くことが多い。 どちらに動くかは分からないけど、オプションをストラドルで買っておけば、株価変動によって利益を得られるというわけだ。
企業の大きなイベントに対して、投資家は好感や嫌気をして、株価が大きく動くことが多い。 どちらに動くかは分からないけど、オプションをストラドルで買っておけば、株価変動によって利益を得られるというわけだ。
なるほどね。
でも、大きなイベントがあっても、株価はそんなに動かないってこともあるよ。
でも、大きなイベントがあっても、株価はそんなに動かないってこともあるよ。
うん、まさにその通りだね。
決算報告に対して、株価はすでに織り込み済み(予測を反映した価格)になっていることもあるし、経営方針の転換などについても同じことが言える。
相場が大きく変動しなくてはならないという意味で、オプションの買いは勝率の面で不利だから、リスクを十分に考慮する必要がある。
それでも、特定のイベントを狙い撃つことによって、ストラドルの買いで大きな利益を得られるチャンスがあるのは確かだ。
決算報告に対して、株価はすでに織り込み済み(予測を反映した価格)になっていることもあるし、経営方針の転換などについても同じことが言える。
相場が大きく変動しなくてはならないという意味で、オプションの買いは勝率の面で不利だから、リスクを十分に考慮する必要がある。
それでも、特定のイベントを狙い撃つことによって、ストラドルの買いで大きな利益を得られるチャンスがあるのは確かだ。
何かもっと、確実なタイミングが分かればいいんだけど・・・
確実とは言えないけど、近年アメリカ市場のオプショントレーダーに注目されているのが、薬剤関連企業の株オプションだ。
薬品を扱う企業は、自社が開発した薬をFDA(米国食品医薬品局)という機関に提出し、品質を審査してもらう。
もし認可を得られれば、薬品としての効能が公的機関によって保証されたことになり、薬局での販売が許可されるなど、莫大な売り上げに繋がるわけだ。
薬品を扱う企業は、自社が開発した薬をFDA(米国食品医薬品局)という機関に提出し、品質を審査してもらう。
もし認可を得られれば、薬品としての効能が公的機関によって保証されたことになり、薬局での販売が許可されるなど、莫大な売り上げに繋がるわけだ。
ほぉー! そりゃ株価も上がるんでは?
うむ。
「FDAの認可」というイベントによって、株価がしばしば高騰する。
例えば、OSI Pharmaceutical社のケースでは、2004年4月に新薬がFDAによって承認されたことをきっかけに、株価が約2倍に跳ね上がった。
「FDAの認可」というイベントによって、株価がしばしば高騰する。
例えば、OSI Pharmaceutical社のケースでは、2004年4月に新薬がFDAによって承認されたことをきっかけに、株価が約2倍に跳ね上がった。
すごいね。 でもそれだったら、オプションじゃなくて、素直に株を買えば良いことじゃない?
いや、そうとも言えない。
まず、原資産を直接買うのとオプションを買うのとでは、レバレッジに大きな差がある。
上の例で言うと、株を直接買った場合は投資資金が2倍になったのに対して、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを買った場合は、なんと100倍にもなったんだ。
また、FDAに申請した新薬は、必ずしも認可される訳じゃない。
もし、FDAから不認可の通知が出た場合、株価は逆に大幅に下がることもある。
例えば、Genta Incという会社は、2004年5月3日にFDAから不認可を受け、その直後に株価が60%も下落している。
まず、原資産を直接買うのとオプションを買うのとでは、レバレッジに大きな差がある。
上の例で言うと、株を直接買った場合は投資資金が2倍になったのに対して、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを買った場合は、なんと100倍にもなったんだ。
また、FDAに申請した新薬は、必ずしも認可される訳じゃない。
もし、FDAから不認可の通知が出た場合、株価は逆に大幅に下がることもある。
例えば、Genta Incという会社は、2004年5月3日にFDAから不認可を受け、その直後に株価が60%も下落している。
うわ。 その株を持ってたらすごい損失だね・・
株を直接買うと、大きなリスクを負うことにもなるんだ。
株を直接買うと、大きなリスクを負うことにもなるんだ。
そこで、オプションをストラドルで買う戦略が生きてくる。
FDAの発表前に、オプションをストラドルで買っておけば、結果が認可であっても不認可であっても株価が大きく動くので、利益を得られる可能性が高い。
ただ、FDAの認可発表というのは時期を正確に予測することが難しく、オプションを買ったけど、FDAからの発表が無いまま満期を迎えてしまうということもある。
そういうケースでも、オプションの買い手のリスクは限定されているから、オプションのプレミアム料だけが損失になる。
FDAの発表前に、オプションをストラドルで買っておけば、結果が認可であっても不認可であっても株価が大きく動くので、利益を得られる可能性が高い。
ただ、FDAの認可発表というのは時期を正確に予測することが難しく、オプションを買ったけど、FDAからの発表が無いまま満期を迎えてしまうということもある。
そういうケースでも、オプションの買い手のリスクは限定されているから、オプションのプレミアム料だけが損失になる。
なるほどねー。 オプションを買った方が有利なことも多いんだ。
イベント前という状況に加えて、原資産価格のヒストリカル・ボラティリティ、およびオプションのインプライド・ボラティリティが低い水準であれば、オプションの買いで利益を得られる可能性は更に高くなる。
理由は、ボラティリティの活用で解説した通りだね。
今回は、薬剤関連企業の株券オプションを例として説明したけど、他のあらゆるオプションでも同じ戦略が使えるよ。
たとえば、穀物の先物オプションでは、穀物の収穫高レポートの後に相場が大きく動くことを利用したりとかね。 市場について良く知れば知るほど、どんなときに相場が変動するかが掴めてくるから、より有効に「ストラドルの買い」が使えるようになる。
理由は、ボラティリティの活用で解説した通りだね。
今回は、薬剤関連企業の株券オプションを例として説明したけど、他のあらゆるオプションでも同じ戦略が使えるよ。
たとえば、穀物の先物オプションでは、穀物の収穫高レポートの後に相場が大きく動くことを利用したりとかね。 市場について良く知れば知るほど、どんなときに相場が変動するかが掴めてくるから、より有効に「ストラドルの買い」が使えるようになる。
市場についていろいろ調べて、原資産価格が大きく変動する時を狙えばいいんだね。
(勘で取引するのはやめておこう・・)
(勘で取引するのはやめておこう・・)
- 1.オプション取引の利点
- 2.オプションの基本
- 3.コール・オプション
- 4.プット・オプション
- 5.損益のまとめ
- 6.時間価値と本質的価値
- 7.カバード・オプション
- 8.ボラティリティとは?
- 9.ボラティリティの活用
- 10.株の保険1
- 11.株の保険2
- 12.投機としての買い
- 13.売りで利益を得る
- 14.売りの損失を限定する
- 15.ギリシャ指標(デルタ、ガンマ、ベガ、セータ)
- 16.デルタの活用
- 17.オプション取引入門 まとめ
