10.オプションで株の資産に保険を掛ける




■ プット・オプションを原資産の保険として使う

大量の株を保有していたけど、ある日突然ブラック・マンデーが訪れて、資産が跡形もなく消えてしまった・・・ という話は、昔からよく聞くよね。
そこで、もし自分が保有している株に対して、万が一のための保険が掛けられたら便利だと思わない?


私は電力株しか持って無いから、市場が大暴落してもそこそこは耐えられるし大丈夫だよ。


(むむぅ。やりずらい。。)
まぁでも、備えあれば憂い無しって言うし。

今回は、プット・オプションを使って、保有株に保険を掛ける方法を説明しよう。




■ 保有している株に対して、プット・オプションを買う

たとえば、ある投資家が、マイクロソフト社の株を1000株保有しているとしよう。
マイクロソフト 株価


2004年9月現在の株価は、約27ドル。
1000株保有しているから、資産額は27,000ドル(約300万円)だね。


過去1年間の株価を見る限り、安定してるっしょ。
暴落なんてしないんじゃない?


いや、ブラック・マンデーは忘れた頃にやってくる、っていうくらいだからね。

ここで、この株に対する保険として、プットオプションを買うことを考えてみる。
自分が持っている株に対して、「特定の価格で売る権利」を買うわけだから、株価暴落時に備えた保険ということになる。

保有している原資産に対して、プット・オプションを買う
→ オプションが保険の役割を果たす


さて、保険だから、保障期間は長い方が良いし、保障額は大きい方が良いし、願わくば保険料は安いほうが良い。
つまり、なるべく満期までの日数が長く、権利行使価格がアット・ザ・マネーに近く、なおかつプレミアムが安いプット・オプションを選ぶべきなんだ。


自動車保険とかと一緒だね。
オプション一覧


うん、他の保険と同じ考え方だよ。
今回は、満期日が1年4ヶ月後の2006年1月で、権利行使価格20ドルのオプションを選ぶことにした。 プレミアムは、1株あたり0.6ドルを付けていた。
このように、満期日までの日数が長い株券オプションで、特に残日数が9ヶ月以上のオプションは、LEAPSLong-term Equity AnticiPation Securities)とも呼ばれる。

この投資家は、マイクロソフト社の株を1000株保有しているから、その全てに対してプット・オプションを買うとすると、0.6ドル × 1000倍で、600ドルのプレミアムを支払うことになる。


保障期間が1年ちょっとある保険を、600ドルで買ったんだね。
もし1年以内に暴落が起こったら、どうなるんだろう?


では、この半年後にマイクロソフトの株価が暴落して、1株当り10ドルまで値下がりした場合を考えてみよう。

プット・オプションを買っていなかった場合は、(27ドル − 10ドル) × 1000株で、17,000ドルの損失だ。
一方、プット・オプションを買っていた投資家には、株価がどんなに暴落しても20ドルで売る権利があるから、(27ドル − 20ドル) × 1000株で、7,000ドルの損失で済む。
これに、600ドルの支払いプレミアムを加えても、7,600ドルの損失で済むことになる。


株価が27ドル→10ドルへと急落したときの損失額。(下表)
権利行使価格20ドルのプット・オプションを買った投資家は、損失額を減らすことができる。

 

持ち株の損失

オプション
による利益

オプションの
支払いプレミアム

合計損失

一般の投資家

-17,000ドル

無し

無し

-17,000ドル

プット・オプションを 買った投資家

-17,000ドル

+10,000ドル

-600ドル

-7,600ドル

なるほどね。 保険も馬鹿に出来ないかも。


そうだよ。
実際に大手の機関投資家なんかは、プット・オプションを大量に買って、万が一のリスクに備えている。 顧客の大事な資産を守る必要があるからね。
こういうリスクに備えるための取引は、ヘッジ(垣根)と呼ばれる。


じゃあ、プット・オプションを売るということは、他の投資家に保険を売っているのと同じようなことなの?


そういう見方もできるね。
オプションの売り手は、「何も無いところから、保険を発行して売る」という保険会社がやっていることそのものを、投資の世界でやっているようなものだよ。


ほぉー、ちょっとカッコイイね。
オプショントレードでは、保険を買うことも売ることもできるってことか。




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