日経225Weeklyオプション 開始から3週間の取引状況

日経225オプションのWeekly(週次取引)がスタートしてから3週間がたちました。 日中取引におけるWeeklyの売買状況は、現時点で以下のようになっています。

  • 開始から3週間のWeeklyオプションの出来高は、合計 10,993枚。1日平均では733枚。(一週目 4,420枚、二週目 4,139枚、三週目 2,434枚)
  • 直近の週に満期となるWeeklyオプションが出来高の95%を占めた。 第2週のWeeklyオプションが残りの5%を占め、第3週と第4週は0.1%未満の出来高だった。
  • 3週間で取引されたWeeklyオプションのうち、61%がプットだった。

日中の日経225オプションの出来高に対して、Weeklyオプションの占める割合は平均で1%程度となっています。 米国市場で取引されているS&P500指数のWeeklyオプションは、取引に占める比率が30%程度であることを踏まえると、日経225のWeeklyはまだまだ取引が少ない状況です。

日経225Weeklyの取引が実際に始まってみると、次のような課題が浮かび上がってきました。

1. 米国の雇用統計に対応していない

米国の雇用統計(非農業部門雇用者数)は、市場が最も注目する経済データの一つで、日本の株式市場に対しても大きな影響力を持ちます。 このデータは、毎月第1金曜日の日本時間 22:30(サマータイム期間中は21:30)に発表されます。

問題は、このデータが発表される時点で、すでに第1週の日経225Weeklyオプションが満期になっていることです。 第1週の日経225Weeklyは、米国雇用統計が発表される前日の木曜日に取引が終了し、翌朝のSQ値で決済されるため、データの発表に備えてヘッジをしたり、ポジションを取ることができません。

結果として、雇用統計に向けてオプションを取引するには、その翌週に満期となるオプション、つまり通常の日経225オプション(第二金曜日の満期)を取引するしかありません。 Weeklyを取引するメリットが薄いため、結局、これまでと変わらず直近の限月に取引が集中することになります。

これに対して、米国市場のS&P500 Weeklyは、雇用統計の発表に対してピンポイントで取引できるため、より投資家のニーズに沿っているといえます。

2. 直近の週以外は流動性が低い

前述のとおり、日経225Weeklyの取引の95%が直近の週に集中しています。 直近の週はまずまずの流動性、二週目はかろうじて取引できる状況、そして三週目と四週目のオプションは事実上取引できない状態です。

そのため、たとえば6月の第四週に向けてオプションを取引したいと思っても、その7日前にならないと容易に取引することができません。 流動性を無視して取引を行うことも可能ですが、その場合は大きなスリッページ(Bid/Askのスプレッド)が投資家の負担になります。

以上が、筆者の率直な感想です。 Weeklyオプションの最大の利点は、特定の経済イベントに合わせて柔軟に満期を選べることです。 日経225Weeklyは、重要な経済データである「米国雇用統計」に対応していないことが、やはりマイナスポイントになっていると思います。

今後は、GDPの公表日などに合わせて、スポット的にWeeklyオプションが活発に取引される状況も予想されます。 ただ、Weeklyが本格的に普及するかどうかは、現時点では五分五分という印象です。