隠れたリスク - 為替レートの変動

アメリカ市場で株や証券の取引を行う際には、円の通貨をドルに替えて取引を行うことになり、これはオプショントレードでも同様です。
そのため、投資家は「為替レートの変動」による影響を少なからず受けます。

円をドルに替えて取引するということは、言い換えると「ドルを買ってから」取引しているということです。  最初にドルを買っているため、後日ドルを円に戻す際にドルが値下がりしていた場合、為替変動による損失が発生します。
つまり、ドル建てで投資を始めて、その後「円高・ドル安」になってしまうと、円ベースでの資産が減ってしまうということです。

具体的な取引では次のようになります。
100万円の資金を持った投資家が、為替レート「1ドル=110円」の時に円をドルに替えて、アメリカ市場で取引を行ったとします。


ドル=110円 (ここでは手数料は無視して考えます)
100万円 → 約9,090ドル (1,000,000 ÷ 110円)

この場合、9,090ドルの資金で取引を始めることになります。
その後、オプション取引を何度か行い、3ヶ月後の損益がプラスマイナス・ゼロだったとします。

(3ヵ月後)
トレーダーの資金 = 9,090ドル

トレーダーの資金は、最初の9,090ドルのまま変わっていません。
ここで、投資資金を一度引き出す必要が出た場合、ドルから円に戻すことになります。
この時、「1ドル=100円」になっていた場合、どうなるでしょうか。

ドル=100円になった場合
9,090ドル → 約90.9万円 (9.090 × 100円)

この場合、オプションでは全く損をしていないにも関わらず、円高になったことで9万円以上もの損失が発生しています。
逆に、ドル高が進んで「1ドル=120円」になったケースでは、次のようになります。

ドル=120円になった場合
9,090ドル → 約109万円 (9.090 × 120円)

為替が有利な方向(円安・ドル高)に進めば利益を得られる一方で、不利な方向(円高・ドル安)に進んでしまうと、思わぬ損失を被ってしまいます。

為替市場に明るい人でしたら、「今後円安が進みそうな時を狙って、ドルに替えて取引を始める」ということができるかも知れませんが、私はむしろ、「オプショントレードだけに集中し、為替レートの変動リスクから開放されたい」と考えます。

外国為替取引を利用して為替の変動リスクを抑える

海外市場で取引する投資家にとって、為替リスクを無くすための「ヘッジ」として役立つのが外国為替保証金取引です。

「アメリカ市場でオプショントレードをしたいけど、為替レートの変動が気になる・・」という方は、ヘッジとしての外国為替取引を検討されると良いと思います。

ヘッジとしての活用

外国為替保証金取引とは、あらかじめ保証金(証拠金)を預けておくことで、保証金の何十倍という単位で通貨の取引ができる金融商品です。

外国為替保証金取引

例えば、保証金の10倍の単位で取引を行う場合を考えてみます。
10万円を保証金として用いた場合、その10倍に相当する1万ドル(約100万円)の取引ができます。

1.「1ドル=100円」のときにドルを買い、「1ドル=105円」になった時に円に戻した場合
買い  10,000ドル × 100円 = 1,000,000円(支払い金額)
売り  10,000ドル × 105円 = 1,050,000円(受取り金額)
損益  1,050,000円 - 1,000,000円 = +50,000円

2.「1ドル=100円」のときにドルを買い、「1ドル=95円」になった時に円に戻した場合
買い  10,000ドル × 100円 = 1,000,000円(支払い金額)
売り  10,000ドル × 95円 = 950,000円(受取り金額)
損益  950,000円 - 1,000,000円 = -50,000円

この取引をするために必要なのは10万円の証拠金のみで、ポジションを閉じた際には「差金決済」が行われ、差額が支払われる(または差額を支払う)ことになります。

仕組みは、「先物取引」にとても良く似ています。
外国為替保証金取引は、少ない資金で大きな取引できるという「レバレッジ」効果があるため、投機目的で取引する際には損失のリスクも伴います。

一方で、海外市場でドルの資金を運用している投資家にとっては、「ヘッジ」として活用することができます。
外国為替保証金取引は、ドルの売りから取引を開始することができるため、円高が進んだ場合の保険としても利用できるのです。

保険(ヘッジ)として外国為替保証金取引を利用する例
「1ドル=110円」から、「1ドル=100円」になった場合(円高になったとき)

 オプショントレードの資金として、100万円をドルに替え、その後円に戻した
円→ドル  1,000,000 ÷ 110円 = 9,090ドル
ドル→円  9,090ドル × 100円 = 909,000円
損益  909,000円 - 1,000,000円 = -91,000円

 10万円の保証金を使い、ヘッジとして外国為替保証金取引でドルを売った(10倍取引)
売り  10,000ドル × 110円 = 1,100,000円(受取り金額)
買い  10,000ドル × 100円 = 1,000,000円(支払い金額)
損益  1,100,000円 - 1,000,000円 = +100,000円 
合計  100,000円 - 91,000円 =  +9,000円


「1ドル=110円」から、「1ドル=120円」になった場合(円安になったとき)

 オプショントレードの資金として、100万円をドルに替え、その後円に戻した
円→ドル  1,000,000 ÷ 110円 = 9,090ドル
ドル→円  9,090ドル × 120円 = 1.090,000円
損益  1.090,000円 - 1,000,000円 = +90,000円

 10万円の保証金を使い、ヘッジとして外国為替保証金取引でドルを売った(10倍取引)
売り  10,000ドル × 110円 = 1,100,000円(受取り金額)
買い  10,000ドル × 120円 = 1,200,000円(支払い金額)
損益  1,100,000円 - 1,200,000円 = -100,000円  
合計  90,000円 - 100,000円 =  -10,000円

上記のように、円・ドルレートが10円変動した場合、オプショントレード用の資金は-91,000円から+90,000円の範囲で影響を受けるのに対して、外国為替保証金取引でヘッジ(ドルの売り)を行った場合は為替の影響を相殺することができるため、資金が受ける影響を-10,000円~+9,000円の範囲に抑えることができます。  (※)


厳密には、「スワップポイント」という金利差が発生しますが、ヘッジを行う額と比較して小額であるため、ここではスワップポイントを考慮に入れていません。

上の例では、オプショントレードに使う100万円と同じ金額を使って為替取引によるヘッジをしています。
といっても証拠金取引であるため、実際の為替取引に必要なのは10万円だけで済みます。

このように、投資資金の10分の1程度をヘッジ目的に使用することによって、為替レートの変動リスクを最小限に留めることができます。

ドル建ての投資資金が多くなれば、それだけ為替の影響も強く受けることになります。 現在、アメリカは巨額の財政赤字と経常赤字を抱えており、今後景気の失速局面においてドルの下落を指摘する専門家も少なくありません。
アメリカ市場で取引する際は、並行して為替取引を行うことでドル安によるリスクを抑えることができます。

外国為替保証金取引の始め方

外国為替証拠金取引は、国内の一部の証券会社、または外国為替取引の専門会社に取引口座を開設することで、オンラインでの取引が可能になります。
最近は特に、外国為替証拠金取引を扱う会社が増加してきています。
それに伴い、レバレッジのリスクをきちんと説明せず、顧客を騙すように勧誘する会社も出てきているのが現状です。

これから取引を行う方は、手数料が安く、信頼性が高い会社を選んで取引して欲しいと思います。
下記のサイトでは、複数の外為取引会社に対して一括して資料請求を行うことができるので便利です。