オプション市場の転換期?   (2005年1月12日)


先物オプション市場の展望

日本の商品先物というと、しつこい電話セールスによる勧誘や、顧客を騙すような方法で取引させたりと、とかくダーティーな悪徳会社のイメージがつきものでした。

しかし、そんな商品先物業界に転換が訪れようとしています。
2005年5月1日より、「改正商品取引所法」という法律が施行されます。  これにより、次のような変化が起こります。
委託手数料の完全自由化
商品取引所の会員・取引参加者の資格拡大
(銀行、証券会社、保険会社、投資顧問会社などが新たに有資格者になる)
商品取引員へのガイドライン強化
(顧客へのリスク説明義務の徹底、強引な勧誘を厳しく規制など)
・証拠金預かり制度の変更
・商品取引所の株式会社化 (最低資本額 10億円)
・その他、市場取引・仲介機能を適正化するための改革等
今回の法改正を一言で言うと、日本の閉鎖的な商品先物市場に風穴を開け、市場原理による競争を活発にし、顧客(投資家)へのサービス向上を図るというものです。
委託手数料の自由化と、国内のオンライン取引ニーズの増加によるインパクトは計り知れないものがあります。

2005年1月には楽天と松井証券が、ネット商品先物取引会社「ドットコモディティ」への資本参加を発表しました。 会員数700万人と言われている楽天が、「安い手数料で快適な取引」という売り文句で、先物のオンライン取引を宣伝することになります。
今まで狭い業界の上であぐらをかいてきた商品取引会社は、大きな打撃を受けると予想されます。
そして、顧客の利益を無視するような従来型の会社は、市場から一掃されることを切に願います。

商品先物取引のうち、オンライン取引が占める割合は現在1割以下ですが、楽天などの大手資本の参入により、今後その割合は急速に増えていくと見られています。
そして、個人トレーダー主体のオンライン商品先物取引が増加するにつれ、商品先物オプションの取引量もおのずと増加する可能性があります。

流動性の面から、今まで商品先物オプションというとアメリカ市場のものに限られていましたが、日本の商品先物オプションを自由に取引できるようになる日も、そう遠くないかも知れません。

株券オプション市場の展望

商品先物オプションと並んで今後発展が期待できるのが、株券オプションです。

言うまでも無く、日本では株の売買が盛んに行われており、特に個人投資家によるオンライン取引は近年急増しています。
しかし、株のオプションということになると、まだほとんど取引が行われていないのが現状です。

株券オプションが日本で普及していない要因は色々ありますが、その一つとして、取引所が普及に向けたPRをあまりしてこなかった事があると思います。

とはいえ、そういった状況も2004年頃から変わってきています。
東京証券取引所と大阪証券取引所は、個人投資家向けにオプションのセミナーを頻繁に開催するようになりました。
中でも、株券オプションについて積極的にPRしようという姿勢が強く感じられます。

日本の取引所が株券オプションの普及に本腰になった理由としては、アメリカのオプション専門の取引所、シカゴ・オプション取引所(CBOE)とインターナショナル・セキュリティーズ取引所(ISE)の成功によるところが大きいでしょう。
CBOEでは、2004年のオプション取引高が約3億5000万枚に達し、過去最高の取引高を記録しました。
日本の証券取引所も、米国のオプション取引所の成功をこれ以上指をくわえて見ている訳には行かなくなったということです。

日本ではまだ発展途上の株券オプション取引ですが、オンライン取引の増加という追い風もあり、巨大市場になる可能性を秘めています。
大阪証券取引所では、2005年の年頭社長あいさつにて、今年の最重要分野としてデリバティブを挙げており、オプション市場の拡大に対する意気込みが感じられます。

今後の課題としては、ネット証券会社がどれだけ株券オプションを扱うようになるかという問題があります。
投資家のニーズが高まれば、当然大手資本が参入してくるでしょう。 そして、大手資本が積極的にPRすることで、株券オプションの市場がさらに拡大するという好循環が生まれることを期待したいです。


オプションの市場拡大は、投資家にとっては選択肢の増加というメリットになり、売買チャンスの増加にも繋がります。
近い将来、日本のオプション市場だけで、今のアメリカ市場並の選択肢が提供されるようになって欲しいものです。
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