ETFオプション - 株価指数を「現物」として取引する   (2007年8月18日)


米国のETF(上場投信)とは?

ETF(上場投信)とは、一言でいうと取引所で売買される投資信託のことです。 ETFは取引所に上場されており、一般の株式と同じように取引することができます。

投資家がETFを購入すると、株券に相当する「受益証券」が割り当てられます。

たとえば株価指数に連動するように作られたETFであれば、株価指数の上昇に伴ってETFの価格も上昇します。 そのため、株価指数が低いときにETFを購入し、高くなってから売却することでETFの「売却益」を得ることができます。 また、ETFを保有することにより「配当金」を受け取ることもできます。
しかし、株価指数が下落するとETFの価値も減少するため、投資家は損失を被ることもあります。

取引の対象が分散されているという以外は、通常の株式とほとんど同じ仕組みで取引できるのがETFの特徴です。

米国市場で取引されている主なETFは、S&P 500指数に連動したSPDR(Spyder)、Nasdaq 100指数に連動したQQQQ、ダウ平均に連動したDIA(Diamonds)、Russell 2000指数に連動したIWM等があり、いずれも活発な取引が行われています。

ETFを原資産とするオプション

さらに米国市場では、これらのETFを原資産とする「ETFオプション」も活発に取引されています。

2006年 ETFオプションの一日平均取引高 (CBOE提供)
ETFオプション 取引高

ETFは「現物」として取引されるので、ETFオプションの取引ルールは通常の株券オプションとほぼ同じです。
例えば、SPYのコール・オプションを買ったトレーダーが期日前に権利行使を行ったとします。 この場合、原資産のSPYがオプションの売り手から買い手へと引き渡されることになります。(オプション1枚につき、100単位のETFが受け渡しの対象となる。)

このように、ETFオプションの権利行使が行われると、原資産のETFの受け渡しが発生します。
これが、株価指数オプションとは明確に異なる点です。
株価指数オプションの場合は現物の原資産が存在しないため、権利行使は現金による決済(差金決済)で行われ、原資産の受け渡しは行われません。

ETFオプションのメリット

オプショントレーダーにとって、ETFオプションを取引することには次のようなメリットがあります。

  1. 取引のサイズが小さい
    株価指数取引と比較すると、ETFは取引のサイズが小さいのが特徴。 例えば、SPYオプションはS&P 500オプションの10分の一程度の資金で取引を行うことができる。
  2. 現物と組み合わせた取引ができる
    株価指数を株券のように扱うことができるため、原資産とオプションを組み合わせた取引(カバード・コールなど)を簡単に仕掛けることができる。 さらに、ETFを保有している間は配当金を受け取れるというメリットもある。
  3. 相場の下落局面でも役立つ
    ETFのプット・オプションを購入することで、マーケットの暴落時に利益機会を得ることができる。 また、ETFを原資産とするLEAPSの取引によって、株に長期的な保険を掛けることも可能。

ETFオプションは取引サイズが小さく、原資産の価格変動は複数の株式によって分散されているため、通常の株券オプションよりも低リスクなオプション市場といえます。

米国のオプション取引に興味のある方や、これからオプション取引を始めようとする方には、ETFオプションは魅力的な取引対象になると思います。

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