米国の先物オプション市場

先物オプションとは、米国の商品先物市場、株価指数先物市場、および金融先物市場などで取引されるオプションのことをいいます。

米国で取引されている先物オプションは、株価指数先物オプション商品先物オプション金利先物オプション通貨先物オプション国債先物オプションなど多岐に渡ります。

先物オプションが取引されている主な取引所は、次の2つです。
  • CMEグループ
    2007年にシカゴ商品取引所(CBOT)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の合併会社として誕生。 現在はニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)も傘下に収める。 先物市場のあらゆる商品を扱う。
  • ICE Futures U.S.
    ニューヨーク商品取引所(NYBOT)を傘下に持つ。 主に農産物市場と通貨・株価指数市場の商品を扱う。

米国の先物・オプション市場では取引所の統合・淘汰が進んでおり、現在は上記の2つの取引所だけで取引高のほとんどを占めます。

先物オプションの種類

日本とは異なり、米国の先物取引所ではあらゆる分野の先物オプションを区別なく扱っています。

例えば、日本では株価指数オプションは大阪証券取引所、国債先物オプションは東京証券取引所、商品先物オプションは東京商品取引所といったように、先物の種類によって取引所が分かれています。

一方、米国やヨーロッパの取引所では、これら全てのオプションが同一の取引システムに接続されています。 そのため、投資家はオンラインの取引ブローカーに口座を一つ作るだけで、全ての分野の先物オプションを取引することが可能です。 証拠金も一つの口座で管理できるため、トレーダーにとっては大変便利です。

また、日本では先物と聞くと悪質な取引会社をイメージしますが、米国の先物市場には80年以上前から「クリアリング制度」という仕組みがあり、投資家の利益が最優先で保護されるようになっています。

このような取引の利便性・安全性によって、米国の先物オプション市場は世界中の投資家を呼び込むことに成功しています。2015年の実績では、一日平均で270万枚の先物オプションが取引され、世界最大の先物オプション市場となっています。

活発な取引が行われている市場

米国の先物市場には、オプションが活発に取引されている市場だけでも30以上の市場があります。
下記の表は、オプションの取引量ごとに分類した先物市場の一覧です。

オプションの取引が活発な先物市場  (2016年現在)

取引量が非常に多い

S&P 500、E-mini S&P 500、E-Mimi NASDAQ 100、ユーロダラー、T-Bond(米国債30年物)、T-Note 10(同10年物)、T-Note 5(同5年物)、原油、天然ガス、とうもろこし、大豆、小麦、砂糖、金、ユーロ、日本円、カナダドル、英ポンド、オーストラリア・ドル、スイス・フラン

取引量が多い

銀、大豆ミール、大豆オイル、綿、コーヒー、ガソリン、軽油、生牛、Russell 2000 mini

少なめだが取引可能

銅、ココア、オレンジジュース、飼育牛、ポークベリー、リーンホッグ、E-miniダウ平均 など

取引の電子化

米国の先物・オプション市場では、伝統的な「オープン・アウトクライ」という方法で取引が行われています。
オープン・アウトクライとは、取引所のフロアで人間同士が身振り・手振りを交え、大声で叫びながら注文を処理する方式のことです。

よくテレビのニュースなどに写されるニューヨーク市場の光景を見たことがある方は多いと思います。
派手なジャンパーを着た大人たちが、紙切れを持って大声で叫びながら取引している場面がありますね。 あれがオープン・アウトクライによる取引です。

「この平成のご時勢に、何でそんな原始的な取引をしてるんだ?」という感じもしますが、この伝統は確実に廃れつつあります。

現在、米国の先物・オプション市場では取引の電子化が急速に進んでいます。
CMEグループが運営する電子取引所「Globex」における取引は、すでに全取引の85%を占めています。(2013年7月の実績)

またICE Futures U.S(旧NYBOT)では、2012年10月より先物オプションのフロア取引を廃止。 取引の完全電子化が実現しました。 全ての市場が電子取引に一本化されたことで、日本のトレーダーにとってもオプションが取引しやすくなりました。

取引の電子化によるメリットには、次のようなものがあります。
  1. オプションの取引手数料が格安に
    (以前は往復20ドル前後だったのが、電子取引によって5ドル以下まで値下がりした)
  2. いつでも取引可能に
    (日曜の朝から金曜の深夜まで、平日はほぼ24時間取引できるようになった)
  3. 取引環境の向上
    (オンライン・ブローカーに口座を一つ作れば、ほぼすべての株式オプション、先物オプションが取引できるようになった)

これらのメリットは、世界中のトレーダーが米国市場で取引する理由にもなっています。
最近では、日本から米国の先物オプションを取引しているトレーダーも増えています。 今後も日本のオプション市場が発展しないかぎり、米国市場で取引を行うトレーダーは増えていくと考えられます。